【M4 Mac対応】LocalWPで始めるWordPressローカル環境構築|「エラー -86」をRosetta 2で解決する方法

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「自分のパソコンの中だけで動くWordPress(ワードプレス)の練習用サイトを、無料で・安全に作りたい」――そんな方に向けた記事です。読み終えると、MacでWordPress環境を作るための代表的なツールと初心者向けの選び方、新しいM4 Macで発生しやすい「エラー -86」の正体、そしてそのエラーを「Rosetta 2」という仕組みで解決する具体的な手順が分かります。専門用語にはそのつど補足を入れていますので、エンジニアの方はもちろん、普段プログラミングをしない方でも追える内容になっています。

そもそも「ローカル環境」とは?

WordPressは本来、インターネット上の「サーバー」を借りて公開するものですが、いきなり本番の公開サイトでデザインや設定をいじるのは少し怖いものです。そこで役立つのがローカル環境です。

用語メモ:ローカル環境
インターネットに公開せず、自分のパソコンの中だけでWebサイトを動かす仕組みのことです。例えるなら、お店を開店する前に「自宅のキッチンで料理を練習する」ようなもの。失敗しても誰にも見られず、お金もかからず、何度でもやり直せます。

ローカル環境のうれしいところは、無料・安全・オフラインでも動くという点です。テーマ(見た目のデザイン)やプラグイン(機能の追加部品)を心ゆくまで試し、納得できたら本番サイトに反映する、という使い方ができます。


Mac の中でWordPressはどう動く?

WordPressを動かすには、実は複数の部品が連携しています。ローカル環境ツールは、これらの面倒な部品を「ひとまとめ」にして自動で用意してくれる便利な箱だと考えてください。

あなたの Mac(Apple Silicon M4)
 └ ローカル環境ツール(LocalWP など)が一括で用意
     ・Web サーバー … ページを返す係(Nginx / Apache)
     ・PHP         … プログラムを動かす言語
     ・MySQL       … 記事や設定を保存する倉庫(データベース)
     ・WordPress 本体 … あなたのサイト
 → ブラウザで「localhost」にアクセスすると、この一式が連携して表示される


WordPress環境を作るツール比較(おすすめ3+1)

Macで使える代表的なツールを、簡単な順に紹介します。

ツール名難易度料金特徴
LocalWPかんたん無料クリックだけで完結。初心者に最もおすすめ
Studio by WordPress.comかんたん無料起動が速くApple Siliconネイティブ。最新志向の方に
MAMPふつう無料/有料定番。設定を細かく触りたい人向け
Dockerやや高め無料柔軟だがコマンド操作が必要。本格派・学習用に

① LocalWP(初心者に一番おすすめ)
WP Engine社が無料提供しているツールで、MacでローカルWordPressを動かす方法として最も手軽です。WebサーバーやPHP、データベースといった難しい設定をすべて裏側で自動処理してくれるため、サーバーの知識がなくてもサイトを立ち上げられます。本記事ではこのLocalWPを使う前提で進めます。

② Studio by WordPress.com
WordPress.com公式の比較的新しいツールです。とにかく起動が速く、数秒でサイトを立ち上げられます。Apple Siliconに正式対応しており、軽快さを重視する方に向いています。

③ MAMP
歴史のある定番ツールで、WordPressのワンクリックインストール機能も備えています。サーバーやPHPの設定を管理画面から細かく調整したい場合に向いています。

+1 Docker(中級者以上向け)
「コンテナ」という技術で環境を作る方法です。複数バージョンを同時に試すなど柔軟性は高い一方、コマンドライン操作が必要なため、上の3つより一手間かかります。


M4 Macで発生する「エラー -86」とは

筆者が実際にM4のMacへLocalWPを入れ、サイトを作ろうとしたところ、次のエラーが出て立ち上げに失敗しました。

Uh-oh! Unable to provision site.
Error: spawn Unknown system error -86

これはApple Silicon(M1〜M4)のMacでよく報告されるつまずきポイントです。同じM4 Macでの同一エラー報告も公式コミュニティに上がっています。原因を順番にひもといていきましょう。


原因:CPUの「言語」が違う

パソコンの頭脳であるCPUには、それぞれ理解できる「命令の語彙」があります。これを命令セット(アーキテクチャ)と呼びます。

用語メモ:CPUアーキテクチャ(命令セット)
CPUが理解できる「機械語の言語」のようなものです。Intel製のチップは x86_64、Apple Silicon(M1〜M4)は arm64 という、お互いに通じない別々の言語を話します。

LocalWP本体はApple Siliconに対応していますが、その内部で使われるMySQL(データベース)のプログラムがIntel用(x86_64)でつくられたものだったのが今回の問題です。M4のCPUはarm64の言葉しか直接理解できないため、Intelの言葉で書かれたMySQLをそのまま渡されても実行できず、「-86(=CPUの種類が合わない)」で止まってしまうのです。

MySQL という製品自体がarm64に対応していない、という意味ではありません。あくまで「LocalWPが同梱していたこのバージョンのMySQLがIntel用だった」という配布上の都合です。


解決のカギ:Rosetta 2という「通訳」

ここで登場するのがRosetta 2(ロゼッタ ツー)です。よくある誤解として「CPUをIntelだと錯覚させる仕組み」と思われがちですが、正確には違います。

用語メモ:Rosetta 2
Apple純正の「バイナリ翻訳」機能です。Intel用(x86_64)の命令を、Apple Silicon用(arm64)の命令へその場で翻訳してCPUに渡します。例えるなら、英語しか書かれていない指示書を、日本語しか読めない人のために同時通訳してくれる人のような存在です。CPUをだますのではなく、あいだに通訳が入るイメージです。

MySQL のプログラム(x86_64 / Intel の命令)
  ├─ Rosetta なし → CPU が直接実行を試みる → エラー -86(実行できない)
  └─ Rosetta 2 で x86_64 → arm64 に翻訳 → M4 の CPU で実行 → 正常に起動


対処手順:Rosetta 2をインストールする

解決はとても簡単で、ターミナル(Macの文字入力でパソコンを操作するアプリ)から一度コマンドを実行するだけです。

  1. 「ターミナル」を開きます(画面右上の検索に「ターミナル」と入力するか、アプリケーション → ユーティリティの中にあります)。
  2. 次のコマンドをコピーして貼り付け、Enterキーを押します。
  3. インストールが終わるまで待ちます(数十秒〜数分ほど)。
  4. LocalWPをいったん完全に終了し(メニューの Local → Quit)、もう一度起動します。
  5. 再びサイトの作成を試すと、今度は正常に立ち上がります。
softwareupdate --install-rosetta --agree-to-license

それでも直らないときは
インストールしているLocalWPが「Apple Silicon版」かどうかを確認してください。Intel版を入れていると同じエラーが出やすいので、いったんアンインストールし、公式サイトからApple Silicon版を入れ直すのが確実です。あわせて、メニューの「Local → Check for update」で最新版にしておきましょう。


Rosetta 2を入れてパソコンに悪影響はない?

心配いりません。Rosetta 2はApple純正の標準機能で、多くのIntel製アプリがこれを使って動いています。arm64ネイティブのアプリには一切干渉せず、Intel製アプリが起動されたときだけ翻訳のために働きます。常駐してシステム全体を遅くするものではありません。

唯一のコストは「Rosetta経由で動くIntelアプリが、ネイティブより少しだけ遅く・少しだけ電力を多く使う」程度で、今回の用途では体感できる問題にはまずなりません。安心してインストールして大丈夫です。

例え話でおさらい

  • ローカル環境=開店前に自宅で料理を練習するキッチン。失敗してもお客さんには見られません。
  • CPUアーキテクチャの違い=日本語と英語のように、通じない別の言語。
  • Rosetta 2=その場で訳してくれる同時通訳者。だますのではなく、間に立って橋渡しをします。

まとめ

  • MacでのWordPressローカル環境づくりは、初心者ならLocalWPが最もかんたん。軽快さ重視ならStudioも有力です。
  • M4 Macで出るエラー -86は、内部のIntel用プログラムをarm64のCPUが実行できないことが原因です。
  • Rosetta 2をインストールすれば、Intelの命令がarm64へ翻訳され、問題なく動きます。
  • Rosetta 2はApple純正で安全。パソコンへの悪影響を心配する必要はありません。


参考リソース

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